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うどんVSフォーク!初めての箸バトル in Japan

うどんVSフォーク!初めての箸バトル in Japan

日本に来て2ヶ月が経った頃、私はまだ日本の生活に慣れるのに苦労していた。 フィリピンで学校を卒業したばかりの私は、すぐに日本に来て仕事を始めた。日本語も少しずつ覚え始めていたけれど、まだまだ日常生活には慣れていなかった。それでも、仕事場の先輩や同僚たちは親切で、日々少しずつ日本の文化を学んでいた。

そんなある日、職場の仲間たちと一緒にお昼ご飯を食べることになった。日本に来てから初めてのグループランチだったので、ちょっと緊張していた。みんなと仲良くなりたいし、日本の食文化にももっと触れたいという気持ちが強かった。

その日、私たちは車でサービスエリアに向かった。サービスエリアは、日本独特の道中の休憩場所で、食事をしたりお土産を買ったりすることができる。私は初めてのサービスエリアに少し興奮していた。「日本ってこんな場所もあるんだ!」と思いながら、いろんなお店を見て回った。職場の仲間5人と、もうすぐ一緒に働く予定の30代の男性も一緒だった。

みんなで何を食べようかと相談しているとき、私は「うどん」を注文することに決めた。 フィリピンではあまり見かけない食べ物だし、日本に来たら一度は食べてみたいと思っていた。友達も「うどん美味しいよ」と勧めてくれたので、これは間違いないと信じた。カウンターで注文を済ませて、湯気の立つ大きな丼が目の前に置かれた。

しかし、その瞬間、私はとんでもないミスに気づいた。

目の前にあるのは、箸とレンゲ(スープ用のスプーン)だけ。箸!? 私はすぐに動揺した。そう、私にはまだ箸を使うスキルがなかったのだ。フィリピンではフォークとスプーンで食事をするのが一般的で、箸を使う機会はほとんどなかった。日本に来てから箸の練習はしていたものの、うどんのような長い麺を箸で食べるなんて、無理難題だった。

同僚たちは、何の問題もなく箸を使い始め、スムーズにうどんをすすり始めた。まるで彼らは箸を手の一部のように使っていた。 一方で私は、箸を握ったままじっとラーメンを見つめていた。どうやってこの長い麺を箸でつかめばいいのだろう?いや、そもそも箸を正しく持つことさえ難しい。

私は深呼吸をして、箸を慎重に動かし始めた。少しずつ麺をつかもうと試みるが、うどんは私の思い通りにいかない。 箸でつかんだつもりが、麺はスルリと滑り落ちる。何度試してもうまくいかず、周りの同僚たちがうどんを楽しんでいる間、私はひたすら麺と格闘していた。

「大丈夫?」と隣の同僚が気を使ってくれたが、私は笑って「大丈夫、慣れてる!」と答えた。もちろん、慣れていない。 本当は焦っていた。みんなが美味しそうにうどんを食べているのに、私は一口も麺を食べることができない。

そのうち、私は諦めることにした。箸でうどんを食べるのは私には無理だ。そこで、私はレンゲを使って、スープだけを飲むことにした。 麺はもう放置。スープだけでも美味しいから、これで何とか満足しようと思った。レンゲでスープをすくって飲むたびに、少しずつ気持ちが落ち着いてきた。スープは確かに美味しい。

しかし、やっぱりうどんの麺は残ったまま。

周りの同僚たちは、すでに自分のうどんを食べ終わっている。そして、「どう?美味しかった?」と聞かれるたびに、私は「うん、すごく美味しかったよ!」と笑顔で答えた。だけど実際には、麺に一口も手を付けていなかった。

お昼が終わり、みんなが食事を楽しんでいる中、私は心の中でそっと自分に誓った。「次こそは、ちゃんとうどんを箸で食べる!」と。日本に住むからには、いつか箸をマスターしなければならない。その日がいつかはわからないけど、必ずできるようになりたいと強く思った。

そして、私はその日から、箸の特訓を始めた。 夕飯の時や家にいる時、できるだけ箸を使うようにして、慣れるために毎日少しずつ練習した。最初はイライラすることも多かったけれど、少しずつ慣れてきて、ある日、ようやく「これならいけるかも」と感じるようになった。

数ヶ月後、再び同じサービスエリアに行く機会が訪れた。その時、私は迷わずうどんを注文した。 今度こそ、あの麺を箸で食べてやる。自信満々で、箸を手に取り、麺をつかんで口に運んだ。

その瞬間、私は勝利を感じた。

ついに、私は箸でうどんを食べることができたのだ! 麺が滑り落ちることもなく、スムーズにすすれるようになった。箸の使い方に慣れていない頃の自分が懐かしい。あの日の自分を振り返って、少しだけ笑ってしまった。

今では、箸でどんな麺類でも食べられるようになった。ラーメン、うどん、そば、どれもお手の物だ。あの時の経験があったからこそ、私は日本の食文化をもっと楽しめるようになったのだと思う。あの日、うどんの麺を残してしまったことは、今では良い思い出だ。

これからも日本の食文化を楽しみながら、さらに成長していきたい。 そして、フィリピンの家族や友達にも、日本での生活の楽しさを伝えていこうと思う。

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